ヤキをいれる

2020.03.27
鉄を硬くするにはどうすればいいのでしょう?

その答えは「焼きを入れます」。
いや、決して校舎裏に呼び出すわけではありませんよ?
分かりやすく言うと、高温になるまで熱して一気に冷やすことです。
そうすると、鉄って硬くなっちゃうんです。これが焼入れという作業です。
でも、ただの鉄を焼入れしても硬くはなりません。
鉄を焼入れして硬くするには、成分として炭素が入っていないとだめなんです。
つまり、炭素が入っている鉄の種類(鋼種)であれば、焼きを入れることができます。

じゃあ炭素の入っていない鋼種は硬くできないの?
って思いますよね。ちゃんとできるんです。
それを可能にしたのが浸炭(しんたん)焼入れという処理です。
炭素がないの?じゃあ入れちゃえばいいじゃん?
というノリで出来たかどうかはわかりませんが、加熱の際に炭素を浸み込ませて
焼入れを行うことで、炭素が入っていない鋼種でも硬くすることができます。
でも炭素が浸み込むのは表面のとても浅い部分だけので、硬くなっているのは
あくまで炭素の浸み込んでいる表面部分だけになります。
それを逆手にとって表面だけを硬くしたい場合によく採用される熱処理となっています。

今回ご紹介した処理以外にも、一部分だけを硬くすることができる高周波焼入れや
火炎焼入れという処理もありますし、「ヤキいれ」といっても色々な焼入れ方法があるんです。
しかも同じ処理内容でも、設備によって呼び方が変わったりもするんですが・・・
それはまた別の機会にご紹介します。

知らないようでいてみんなホントに知らない熱処理の世界。
これからもっと掘り下げていきたいと思います。

(Y.N.)