塩浴軟窒化について

2020.11.18
みなさん、こんにちは。
前回お話しさせていただきましたが、熱処理には一般熱処理と表面熱処理との2つがあります。
本日は表面熱処理のなかの1つである塩浴軟窒化についてご紹介します。
塩浴軟窒化とは、熱処理によって対象物の表面硬度を向上させる処理です。
(処理の商標名「タフトライド」や「イソナイト」をそのまま呼称して
タフトライド処理、イソナイト処理、と呼ばれることもあります)

熱処理の代表ともいえる「焼入れ」も硬度を上げる処理ですが、何が違うのでしょうか?
塩浴軟窒化は、塩浴中にて鋼の表面に窒素を染み込ませ、金属元素と結合させることにより
硬い窒化物層を形成することで表面を硬化する処理になります。
一方焼入れは、金属の組織変化を起こしてその歪みのある状態を留めることによって硬さを
得ています。そのため硬さを得られると同時に変形や寸法変化などのリスクがあります。

軟窒化処理では、変態点温度(鋼が組織変化する温度)よりも低い温度で処理を行うため、
焼入れよりも変形のリスクが極めて低い処理となっています。
もちろん両者を比較すればメリットとデメリット、両面存在します。対象製品の目的用途に
よって最良の処理をご提案させていただきますので、処理に迷われた方はご相談ください。

軟窒化処理は主に耐疲労強度、耐摩耗性、耐食性の向上を目的として選択されることが多く、
特徴としてはほとんどの材料(炭素鋼、冷間圧延鋼、構造用鋼、ステンレス鋼など様々な鋼種)に
処理が可能で、処理後の研磨処理にも対応が可能です。
弊社の依頼品は小型の精密部品が多く、多品種少量でも短納期で対応いたします。
お問合せ、ご相談お待ちしております!

(Y.S.)